近年、日本への旅行者が増加する中で、「安価で便利」をうたい文句にした**違法な送迎サービス、いわゆる「白タク」**の利用が急増しています。
しかし、その裏側には計り知れない危険性が潜んでいます。
2025年に報じられた痛ましい事故は、この「白タク」問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。和歌山県では、大型のワゴン車(偽装ジャンボタクシー)が関与する重大な事故で、残念ながら死者が出ています。
特に多人数での移動を狙った**大型車両(白ナンバーのワゴン車)**を使った違法な送迎は、事故の際の被害が甚大になりやすく、正規の保険が適用されないという致命的なリスクをはらんでいます。
本記事では、2025年に発生した具体的な「白タク」事故の事例を基に、以下の重要なポイントを徹底解説します。
- 一般旅行者:違法な**「偽装ジャンボタクシー」**の見分け方と、自身が事故に巻き込まれないための対策
- インバウンド関連企業:白タクを知らずに斡旋・紹介した場合に問われる重大な法的責任と、信用失墜リスク
旅の安全を守り、法令を遵守するために、この情報を最後までお読みください。
2025年に報じられた「白タク」関連の重大事故事例とその特徴
2025年に入り、観光地や地方空港を中心に**「白タク」行為の摘発や、それによる重大な事故**の報道が相次いでいます。これらの事例から、「白タク」が単なる違法行為ではなく、人命に関わる危険をはらんでいることがわかります。
【注意】大型車両による「偽装ジャンボタクシー」の実態
正規のタクシー会社が提供する「ジャンボタクシー」は、ミニバンやワゴン車を利用した認可済みのサービスです。しかし、違法な「白タク」業者も、訪日外国人の団体をターゲットに、同種の大型のワゴン車を使用して送迎サービスを提供し、**「偽装ジャンボタクシー」**として営業しているケースが散見されます。
中部空港での白タク事件、ベトナム国籍の男を逮捕
愛知県警は、**自家用車を使って有料で客を運んだ「白タク行為」**を行っていたとして、ベトナム国籍の男女を道路運送法違反の疑いで逮捕・送検しました。
調べによると、容疑者らは中部国際空港(セントレア)から名古屋市内など複数の目的地まで、無許可で有料送迎を行っていたとされています。いずれも容疑を認めているということです。
この一連の事件では、すでにベトナム国籍の男女7人が逮捕されており、警察は彼らが日本に在住するベトナム人を中心に、格安料金で白タク営業を繰り返していたとみて捜査を続けています。
和歌山県新宮市でのワゴン車死亡事故
2025年の連休中に和歌山県新宮市内の国道で発生した大型トラックとの衝突事故では、観光客ら8人が乗ったワゴン車が関与しました。この事故により、乗客の1人が死亡するという痛ましい結果となりました。 その後の捜査により、このワゴン車を運転していた中国籍の男が、有償で観光客を運送する**「白タク」行為の疑いで逮捕されています。この事例は、「白タク」が人命を奪う危険性**を明確に示しています。
新潟県で摘発された「白タク」行為
また、2025年10月には、新潟県でも自家用車で観光客を乗せた「白タク」行為の疑いで中国籍の男が現行犯逮捕されています。このような摘発事例は、白タク行為が全国の観光地で横行し、警察や関係機関が警戒を強めている現状を示しています。

企業・事業者が巻き込まれる危険性!「白タク」利用・斡旋の法的リスク
インバウンド関連の企業(旅行代理店、宿泊施設、地域団体など)は、顧客サービスのつもりで「白タク」を紹介・利用することで、意図せず犯罪に加担し、重大なリスクを負う可能性があります。
旅行代理店・宿泊施設が知るべき法的責任
違法な「白タク」行為であることを知りながら、あるいは知るべき状況で、顧客に送迎サービスとして斡旋・紹介した場合、企業は道路運送法違反の幇助に問われる可能性があります。
【注意】 事故が発生した場合、企業は紹介元として顧客の安全確保義務違反を問われ、信用失墜はもちろん、損害賠償請求の対象となるリスクがあります。
偽装送迎サービスを見抜くためのチェックリスト
企業として安全を確保し、コンプライアンスを遵守するためには、以下の点を確認することが不可欠です。
- ナンバープレートの色:必ず緑色のナンバープレート(営業車)か?
※緑でも最近はナンバープレートを貸す事例もあり - 運行管理体制:運転手の勤務記録、車両点検記録等の正しい管理をしているか?
※運行管理が杜撰でないか - 料金形態:料金が個人間の曖昧な取引ではなく、明確な見積書に基づいているか?
※基本、都市型ハイヤーは料金が決まっている、安い業者は要注意。
信用失墜の代償は大きい
「白タク 事故 2025」のような事例に自社の顧客が巻き込まれた場合、その事実が広まれば、企業のブランドイメージと信用は取り返しがつかないほど毀損します。特にインバウンド顧客からの信頼回復は極めて困難です。

なぜ「白タク」(偽装ジャンボタクシー)は特に危険なのか?
「安さ」と「利便性」の裏側には、プロの運行ではあり得ない構造的な危険性が存在します。
リスク1:事故発生時の「補償」が極めて不十分
これが最大の危険です。自家用車(白ナンバー)の任意保険は、「有償での運送」を想定していません。
万が一、白タクが事故を起こし、乗客が怪我や死亡に至った場合、保険会社から「有償運送に該当するため、保険の支払いはできない」と拒否される可能性が極めて高いです。特に偽装ジャンボタクシーのように多数の乗客がいる場合、損害賠償額が巨額になるにもかかわらず、全く補償されない事態に陥ります。
リスク2:車両の安全性と運行管理の欠如
- 定員オーバーや過積載:団体客を無理に乗せようとし、安全基準を無視した運用がされがちです。
- 運転手の質:プロドライバーに必要な安全運転の教育や、長距離運転に必要な体調管理・休憩管理が全く行われていません。過労運転による重大事故のリスクが常に伴います。

正規の「ジャンボタクシー」と違法な「白タク」の見分け方と対策
旅行者と企業が、自らを守るために取るべき最も重要な行動は、「緑ナンバー」の車両を選ぶことです。
※最近は「緑ナンバー」の貸し借りも行われるので要注意!
対策1:車両のナンバーの色を徹底確認
| サービス | ナンバープレートの色 | 運行許可 | 安全性・補償 |
| 正規のタクシー (ジャンボ含む) | 緑色 | あり | 運輸局の指導下、保険・運行管理体制が万全 |
| 違法な白タク (偽装ジャンボ含む) | 白色 | なし | 保険不適用、安全管理体制なし |
対策2:正規の事業者とのみ取引する
企業は輸送を依頼する際、必ず**「一般乗用旅客自動車運送事業」**の許可を持つ正規のタクシー会社、または認可を受けたハイヤー・バス会社であることを確認し、取引記録を残してください。安易な仲介業者や個人の紹介を排除することが重要です。
対策3:従業員・顧客への周知徹底
- 従業員へ:自家用車による顧客の送迎(特に料金を受け取る場合)は違法な白タク行為であり、絶対に行わないよう指導を徹底する。
- 顧客へ:正規の**「緑ナンバー」のタクシーや、認可された配車アプリを利用するよう積極的に案内し、危険な白ナンバー**の送迎サービスを拒否するよう促す。
まとめ:安全と法令遵守は企業の責務
2025年の「白タク 事故」の報道は、違法な運送サービスが引き起こすリスクが、もはや無視できない水準にあることを示しています。
「白タク」、特に大人数を運ぶ**「偽装ジャンボタクシー」の利用は、旅行者の命を危険に晒す行為であると同時に、企業にとっては****法令違反、そして信用失墜**という重大な経営リスクを伴います。
安全で快適な日本での滞在・旅行を実現するため、私たちは一人ひとりが**「緑ナンバー」**の正規サービスを選び、利用することが重要です。




